セイコーマーベル☆1957年モデル

以前、1977年製のセイコークオーツタイプⅡを紹介させていただきました。
今回はそれよりも20歳ほど年寄りの時計を紹介致します。

セイコーマーベル

それまでのスーパーやユニークは、戦後の混乱からの復興の中で生まれた機種でありまだまだ輸入品のレベルには及ばず格下の扱いでした。
そのような中、ムーブメントを従来の10 1/2型(23.7mm)から11 1/2型(26.0mm)まで拡大、石数を17石以上とし歯車の見直しや軸受けの穴位置修正など徹底的なムーブメントの再検討を行い、国産腕時計として初めて精度、耐久面で海外製と肩を並べた製品「セイコーマーベル」は1956年6月10日、時の記念日に合わせて一般公開されます。

性能については、1957年、当時の通商産業省主催による「国産時計品質比較審査」において1位から5位を独占、10位以内に7個入賞、翌年は1位から9位まで独占という快挙を成し遂げます。
また1957年、米国時計学会日本支部で行われた腕時計コンクールでも、男性用腕時計として初めてオメガなど海外製品を抜いて1位にランキングされます。

マーベルは大人気を博し1961年頃まで生産されます。
当初は17石で生産されたマーベルは後に19石、21石が追加されます。
また耐震装置についても初期には搭載されませんでしたが、後に耐震装置も装備されます。

今回紹介するマーベル

写真でもわかるとおりとてもきれいな状態です。とても60年以上前の時計とは思えません。
当時、腕時計は高級品だったため大切に使われてきたのでしょう。
ちなみに発売当時、、大卒の国家公務員初任給が8600円のところマーベルの価格は6200円でした。
現在(2019年)に換算すると16万円弱となります。

①ムーブメント
19石ムーブメント、赤機械、E-2耐震装置付きになります。
トンボ本によると基本的に19石ムーブメントは、赤機械と呼ばれる銅色のメッキ仕上げがされていましたが、後期になると銀色のニッケルメッキ仕上げが登場します。
17石ムーブメントはニッケルメッキ仕上げとなっています。

②ケース
全体に小ぶりで細いラグとドーム風防によりアンティークな雰囲気を醸し出しています。
ケースは14金の金張りとなっています。当時は金メッキの技術が低く基本的に金張りです。
金メッキと違い製造後60年ほど経過しているにもかかわらずきれいな金色を保っています。
尚、マーベル全体ではオールステンレスのケースが最も多く全体の7割位になるそうです。

裏蓋のアップです。裏蓋はステンレスになります。
製造番号から1957年11月製造と思われます。
この時代はまだ「鶴」マークが入っています。
これはセイコーの基礎を築いた技術者、吉川鶴彦氏にちなみ「鶴」をマークにしたものです。
鶴マークはセイコーの純正ケースであることを表しています。
裏蓋の丸みがとても良いです。裏蓋はこの時代のスタンダードであるスナップバック式です。
もちろん非防水ですので雨の日や夏場の利用は控えた方が良いです。

写真で見ると裏蓋に傷が無くとても良い状態であることがわかると思います。
現代の時計は金属ベルトが多いため無造作に置くと金属ベルトで裏蓋を自然に傷つけてしまいます。
この時代の時計は革ベルトが基本でしたので傷が付かなかったのだと思われます。

③文字盤
蛇Sマークがアンティークで良い雰囲気です。
インデックスは細いバータイプです。12時のバーもこのように細いタイプはあまり見かけませんね。
植字だとは思うのですが、段差が少ないためもしかしたら印刷かも知れません。

文字盤は縁が少し下がっており、バー型の針がきっちり縁までの伸びています。
その針も縁に合わせて湾曲しています。

 

最後に

その後発売される国産腕時計に大きな影響を与えた「マーベル」、いかがでしたか。
国産アンティークの中では比較的安価に入手出来る製品です。
国産アンティークの入門にいかがでしょうか?
もちろん、安価だからと言って使い潰して良い時計ではありません。
信頼できる時計技師を見つけ、定期的なメンテナンスをしながら末永く愛用してほしいです。
機会を見つけて別の時計もご紹介します。

以上、セイコーマーベルの紹介でした。

※本記事はセイコーエプソンホームページ 「エプソンのあゆみ」および、トンボ出版 国産腕時計 セイコークラウン、クロノス、マーベル増補版を参考にさせていただきました。
https://www.epson.jp/ms/1956_6.htm

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Posted by kaze