僕が愛用する古時計☆セイコー タイプⅡ(正式名称 SEIKO QUARTZ TYPE2)
僕は結構物持ちが良い方でして、中学の時に買ったゴミ箱を今でも愛用しているほどです。
さて今回ご紹介する腕時計セイコータイプ2も同じ頃に購入した物になります。
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セイコークオーツの歴史
①ニューシャテル天文台コンクール
かつてスイスでは時計の精度を競う「ニューシャテル天文台コンクール」が開かれており各社しのぎを削っていました。
セイコーは1964年から挑戦しています。
高精度を実現するためにはテンプの振動数を向上する必要があり、当初は1秒間に5振動であった振動数が最終的には10振動までアップします。
尚、1967年にセイコーがコンクールの上位を独占するとその年以降コンクールは行われなくなりました。
②クオーツの誕生以前
時計の精度向上のためには、テンプの振動数を高くする必要があります。
しかし機械的な振動数をあげることには限界があるため、振動部の電子化が不可欠となります。
1960年にブローバ社が開発した音叉時計「アキュトロン」は振動部を360Hzと機械式10振動の36倍を実現、日差わずか2秒を実現、世界を震撼させます。
③クオーツ時計の誕生
水晶(クオーツ)は電圧を加えると正確な振動します。
パソコンやスマートフォンに内蔵されているCPUもこの特製を利用し、水晶から生成されたクロックで正確なタイミングで処理を行っています。
水晶の振動子を利用した世界初のクオーツ腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」は1969年12月に発売されました。
当時としては画期的な月差±5秒を実現しています。機械式の時計では日差単位だったのが一気に月差の世界に突入したのです。
高精度の理由は水晶の振動数にあります。
セイコークオーツアストロン35SQの振動数は8,192Hzとそれ以前の高精度時計であるブローバ社の音叉時計「アキュトロン」360Hzの22倍の振動数になります。
その後クオーツ時計の振動数はさらにあがり32,768Hzが標準となっています。
④クオーツショック
機械式テンプを利用しない水晶振動式のクオーツ時計は、電子化が進めやすく一気に腕時計を低価格、高精度、大量生産(大量消費)の世界にシフトさせます。
その結果、スイスなどの伝統的な手法で時計を生産していた企業はクオーツ化が遅れ壊滅的なダメージを受けたのです。
※本章はセイコーミュージアム記載の記事を参考にさせていただきました。
https://museum.seiko.co.jp/
今回紹介する腕時計
1977年製のセイコークオーツタイプⅡです。型番は7546-7030です。
この時計は母親がパートで得た収入で確か高校1年の時に買ってくれた物です。
もちろん現在も現役で動いています。
さてタイプⅡに関して簡単に説明します。
1978年のカタログによると当時の年差5秒のスーペリアツインクオーツが定価23万円でカタログのトップを飾っています。
次がスーペリアで月差1秒、18万円です。その後にグランドクオーツ、キングクオーツ、ロードクオーツと続きタイプⅡとなっています。
タイプⅡの後はエムブレム、シャリア、アクタスなど路線が異なるシリーズに変わっていますので、所謂メインストリーム路線での普及価格帯商品ですね。
カタログにも
・普及型クオーツ
・一般的機能をフル装備し、お求めやすい価格構成、フレッシュなデザインもそろっています。
・中学生から新社会人まで、ヤング層を中心に・・・・・。
となっておりまさに当時の僕は、セイコーが狙っていた顧客層になるわけです。
まさかセイコーも50過ぎるまで使うとは思ってなかったでしょうが・・・・
ちなみにカタログにはタイプⅡが62種類載っていますのでセイコーが如何に力を入れていたかが分かると思います。
性能ですが、月差±15秒、電池寿命は5年、電池寿命予告機能として電池切れが近づくと秒針が2秒刻みになる機能も付いています。
現在のクオーツ時計と比較しても遜色ありません。このような時計が40年前にすでに普及機として販売されていたとは驚異です。
普及価格とは言ってもSEIKOやクオーツマークの植字インデックス、多面カットされたバーインデックスなど、手を抜いていません。
もちろん国内生産です。現在セイコークオーツは上位モデルでないと国内生産にはなっていません。
ちなみに僕の時計は1978年カタログVOL.1に記載されており定価は23000円です。
ちょと面白い機能として、ベルトにバネが仕込まれており少しだけ伸びる機能があります。
手首にリューズが当たって痛いときがありますよね。
この機能により手首への衝撃を弱めているようです。
中古で購入の場合、壊れていることが多いそうですのでご注意ください。
曜日が英語表記と漢字表記が選べるのも良いですね。
当時は英語表記を利用していましたが、今漢字表記を利用しています。
土曜は青、日曜は赤表記も懐かしいです。
ちょっとうんちく
少しうんちくを述べさせていただくと僕のタイプⅡは諏訪精工舎になります。
カタログを見ると7546系以外にも4346系、4316系があり7546系が諏訪、4346,4316系が亀戸のようです。
ちなみに当時セイコーは諏訪にあった諏訪精工舎と亀戸にあった第二精工舎にわかれておりそれぞれ独立して商品開発をしていました。
ちょっと面白いですよね。
キャリバーが異なるので性能も異なり4316のみ電池寿命が2年と短くなっています。
電池は7546,4346がSB A8(UCC-301)に対し4316はSB D1になっています。
また4316のみワンタッチ電池蓋が付いているのも特徴です。
まとめ
写真でも分かるようにかなり傷だらけですが、手放せない相棒です。
昔はよく分からずに乱暴な扱いをしてオーバーホールもしていませんでしたが、近年は電池切れの度にオーバーホールし夏や雨の日は使わないようにしています。
正直100万円でも売らないでしょう。
僕が保有している時計の中では一番の宝物です。
以上、セイコータイプⅡの紹介でした。
更新履歴
2019.09.09 全体に大きく鮮明な写真に入れ替えました
ディスカッション
コメント一覧
タイプⅡ懐かしいです。
自分は1979年の高校入学祝いとして、祖母に買ってもらいました。
甲斐バンドの「ヒーローが」CMソングの時です。
女性向けは「ジョイフル」でしたね。
ベゼルのない型の、ローマ数字の白文字盤のものでした。
1983年にアルバイト先で盗難に遭ってなくなりました。
ですので、今も愛用していらっしゃるのが羨ましい。
数年前、父親がつかっていたシルバーウェーブをもらいましたが、
まだメンテナンスしていません。
動いてくれたらいいのですが、風防が傷だらけです。
イノヘッドさん
コメントありがとうございます。
当時は入学祝い等でタイプⅡをいただく方も多かったと思います。
アルバイト先で盗難とは、とても残念ですね。
当時、同時に購入した父のタイプⅡは母が形見として使っています。
イノヘッドさんのシルバーウェーブも動くと良いですね。
あの年代の時計はと今と違い丈夫なのでメンテナンスにだせば動くと思います。
是非、蘇らせて下さい。
私めもタイプⅡ持っています。先日片付けしていたら出てきました。高校時代に
買ってもらった懐かしい時計です。緑色のグラデーションで型番が7123-7070
なので少し型が違います また動かしたいと思っています。
ジライヤさん
コメントありがとうございます。
高校時代の時計懐かしいですよね。是非稼働させて日常で使って下さい。
ブログでも書きましたが、雨の日や夏場をさければ狂いもなく日常使用可能です。
日付しかないtype2です。7122-80105です。
亡き父が使っていたものを30年放置していましたがふと目にとまり真面目そうな姿なので
磨いてみましたらきれいになりました。町の古い小さな時計屋で電池を入れてみようと思います。
私は72歳で父は明治40年生まれです。近頃小物に興味が出てくるよようになりました。
コメントありがとうございます。
僕よりも先輩に返信をいただき大変恐縮です。
町の古い時計屋さん良いですね。僕もお世話になっている時計屋さんがあります。
電池交換と同時にオーバーホールをお願いすると良いと思います。
多分歯車の油が切れていると思いますので。
大切にしてください。
私も、1979年春に高校進学祝いに貰った7546-7060を現在も使用しています。
野外で頻繁に時間を確認する仕事の時は、アナログ腕時計が最も重宝します。
今でも、誤差は月に数秒で、落下、交通事故、誤って洗濯(3回)にも耐えた強靭さは驚くばかりです。
taka様
コメントありがとうございます。
僕と同年代でしょうか?
本当に素晴らしい時計ですね!
記事、拝見させて頂きました。電池交換の度にオーバーホールとは凄いですね。私は死んだ親父が使っていた7546-8000を引き継いで使っておりますが、このシリーズは美しいものが多いため、7010、7060と、ネットオークションで買って、自分で修理して使えるようにして楽しんでいます。それでこのシリーズですが、ガラス部分のパッキン交換はもうできなくて、ここの気密が破れたら仕方がありませんが、ここが駄目になるということはまあなく、駄目になるのは裏ぶたパッキンとリューズパッキンです。しかしこの2つは汎用サイズ、形状のため、まだまだ社外品のドンピシャのものの入手ができます。本来、かなりの防水性能で、この2つのパッキンにさえ注意されていれば、そこまで水気を気にせずに新品のときと同じように使用でき、電池交換の度にオーバーホールということもされなくて済みます。ただ、この2つをおろそかにしますと、水ではなく腕の汗の侵入で、パッキンの当たる部分のステンレス材料が腐ってしまい、気密性能を保つことができなくなってしまいます。キャリバー7546は機構部、電子回路部ともに、水と汗がなければ、100年経っても変質・劣化しない材料を使っていますから、ケースのパッキンの当たる部分のステンレス材料が腐っていないならば、次回の電池交換の際にはぜひ、裏ぶたパッキンとリューズパッキンの交換をおすすめさせていただきます。ネットオークションに出されているTYPEⅡで、裏ぶたパッキンとリューズパッキン、特にリューズパッキンの交換のされているものは見たことがなくで、どれもこれもケースの裏ぶたパッキンとリューズパッキンの当たる部分のステンレスが腐食、水、汗の侵入で内部の機械が痛んでしまっていて、私はこの修理に苦労しています。
通りがかりの年寄り様
コメントありがとうございます。
ご自分で修理とはうらやましい限りです。
僕は手先が不器用なのでとても出来る自信がありません。
分解修理ですが、比較的安価にお願いできるお店を知っているのでお願いしています。
パッキン交換の情報ありがとうございます。
お父上の時計も是非大切になさって下さい。
大変参考になりました。私は1978年に受験の為に買ってもらいました。色はダークブラウンです。
今でも現役なのですが、ここ数年精度が落ちてきた為、仕事のある時はApple Watchを併用しています。オーバーホールもしたのですが、改善されないので、水晶の寿命なのでしょうか?
ここまで使い倒して来たので、息子へ遺品として譲りたいと考えています。
もうすぐ63歳様
コメントありがとうございます。
古くなっても水晶の固有振動数は変わらないはずです。
遅れるようでしたら、機械的な負荷が増加したかモーターのトルクが落ちたのではと推測されます。
オーバーホールに出した直後なら対応頂いた店に相談してみてはいかがでしょうか?